【鈴森ゆみ】星5つの映画と心に残ったセリフ4『オーケストラ!』
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なんだか暑い日が続くなーと思っていたらいきなり寒くなって、秋どこ行ったんだという感じ。
秋らしい事は何も出来ていないので、“芸術の秋”にちなみ、耳からも楽しめる音楽映画を選びました。
※ある程度のネタバレもあります。読む際はご注意下さい。
『オーケストラ!』
音楽は人を成長させる。答えをくれる。だが、言葉は汚い。裏切る。
今もずっと美しいのは、音楽だけ―
ボリジョイ劇場で清掃員として働くしょぼくれたおじさん・アンドレイ。
支配人に何度注意されても清掃の最中に楽団の演奏に聞き入ってしまう困った人。
だがその清掃員のおじさん。かつてはボリジョイ劇場の天才指揮者だったのだ!
(この設定だけでも最高に引き付けられる)
ある日、アンドレイが支配人の部屋を掃除中、一枚のFAXを見つける。
それは中止になったオーケストラの代打としてパリに来てくれないかという仕事の依頼だった。
すぐにFAXを懐に忍ばせ何食わぬ顔で出ていくアンドレイ。
アンドレイはかつての仲間を集め、楽団に成りすまし、パリでの演奏会に出てしまおう、というとんでもない事を思いつく。
「俺たちは30年以上演奏していない。かつての楽団は解散している。資金もなけりゃ、人を集める時間もない。無理に決まってるだろ!」
かつてのチェロ奏者、サーシャに計画を真っ向から否定されるアンドレイ。
この無理難題を初っ端に持ってきて、それをどんどん解決していく様が見ていて大変痛快!
基本的にコメディタッチですが、軽快さの中にある人間ドラマが徐々に見えてきます。
何故天才指揮者のアンドレイは清掃員になったのか?そこにはアンドレイ達の生きた時代背景が密接に絡んでいます。差別や迫害、時代に翻弄されつつも、ただただ音楽を追い求めた彼ら。収容所におくられてもなお、何も持っていない両手でバイオリンを弾き続ける彼女の正体。彼女がアンドレイに残した、一つの希望。
ラスト15分。すべての人間ドラマを紐解きながら流れる渾身のチャイコフスキー“ヴァイオリン協奏曲“に涙が止まりません。


