【杉浦理史】私はこうして作家になった3/4
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私が番組で企画した『全国声優オーディション』
この企画に制作として入っていた会社が、次に作るアニメの脚本家を探していました。
そのアニメのタイトルは…「おしりかじり虫」
脚本家になるチャンス!
そして私は、このアニメの脚本家に抜擢されました。
この会社の社長は、私の企画や構成台本は読んだことがあるかもしれないが、ストーリーのある脚本を読んだことはありません。
なんというサプライズ人事!
私が毎回収録に参加しその社長と話していて、私の人柄をわかってくれたからか…。
はっきりした理由はわかりません…。
放送作家から脚本家に守備範囲を広げる
「おしりかじり虫」は歌こそあるがストーリーは一切ない。
なので、オリジナルストーリーで書くしかない。
ここまで読んでお分かりだろうが、脚本らしい脚本は書いたことがなかったんです。
しかしここはチャンス、やるしかない。
NHK Eテレ5分アニメを隅から隅まで見まくって、面白かったアニメのストーリーの構造を洗い出し、ギャグのレベルや教育的なエッセンスの入れ方など、徹底的に調べました。
第1シーズンの20本を全て、一心不乱に書きました。
今読み返すと、コントロールは無茶苦茶ですが、160キロ投げるピッチャーのような脚本でした。受け取るキャッチャー(監督やプロデューサー)は、さぞ大変だっただでしょう…。
脚本家としての仕事が増え始める
その後の脚本家としての歩みは…
- 「おしりかじり虫」で5分のオリジナルストーリーを作成。
- アニメ「ばらかもん」で30分のストーリーを作成。
- アニメ「刀剣乱舞-花丸-」で30分のオリジナルストーリーを作成。
と、まるで小学生の計算ドリルにように、「これができたから、次はもう一つ難しいやつね」と神様(プロデューサー)が用意してくれたようでした。
今では長尺の映画の脚本も書いているわけなのですが、この段階を踏む経験は本当にありがたかったです。
作家になるためには
詳細に書けばもっと長くなってしまいますが、私が作家になったのはこのような経緯です。
こういった紆余曲折は、作家なら誰しも経験していると思います。
100人作家がいれば、100通りのコースがあります。
「作家にはどうやったらなれるのか?」
という問いに端的に答えるのがどれだけ難しいかわかってもらえたかと思います。
そして、これまでの経験を踏まえて
私の思う「作家になるために必要な能力」について、書きたいと思います。